水溜り日記

日々の記録を。

大きくなったら

今年、最初の小説は「坊ちゃん」を読んだ。

漱石好きだねえと我ながら思う。

改めて読むと初めて読んだ中1の時とは違った読み方が出来る。

「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」という冒頭。

江戸っ子の青年が愛媛県に赴任し、物語は展開される。1年目の教師だから赴任早々、生徒に舐められる。そこのところが、面白おかしく描かれる。話の柱は学校という組織や人間関係を裏で牛耳る悪者をやっつける「勧善懲悪」もの。

教頭の赤シャツは表では良い顔を振りまいているが、裏では自分の利益を得ようと悪事を働く。そういうやつには野だのような腰巾着がついている。うらなりくんのようなお人好しは、そんな悪者に辛い目にあわされる。この構造が社会の縮図を上手く表している。

坊ちゃんは大人の社会との出会いを描いていると思う。純粋な心を持った「坊ちゃん」がどうやって社会と折り合っていくかが物語のテーマ。大人の社会との出会いは大きな葛藤が生まれる。大人になるってなんだ?という問いを漱石はこの小説で考えたのでは。