人見知りの生意気

夏目純と申します。日々の記録を。

行人

夏目漱石の小説に行人という作品がある。

「彼岸過ぎ迄」、「行人」、「こころ」は後期三部作と一般にくくられている。

 

あらすじは、学問だけを生きがいにしている一郎が次第に他人の考えている事が分からなくなり、(作中では主に妻の心なわけだが)疑心暗鬼に陥るというものだ。

寝食を共にし、死ぬほど相手の事を思っている筈なのに、思えば思うほど思いを寄せる相手の事が分からなくなる。

 

文明開化に始まり、日露戦争での勝利で一等国としての意識を持った日本人は、ますます世の中の事は何でも解明可能という潜在意識を持つようになっていったのかも知れない。

「でも、何でも分かるわけじゃないだろ。現に一番身近な人の心でさえわかんねぇじゃねえか」と漱石は言いたかったんだろうなあと思う。そのテーマは充分、AIが普及しつつある現代にも通じるのかも知れない。

 

そして、作中の夫婦間の問題を更に押し広げ、人間の「こころ」とは何なのか?

漱石の前後期三部作の集大成となる

「こころ」へと繋がっていく。