人見知りの生意気

日々の記録を。

夢見る旅人

大学生の時、友人が「こないだ天王寺MIOのエスカレーターでTバックの女子のお尻見たんやけどぉー」と言ってきた。

耳を疑った。

話を聞くと、エスカレーターに乗っている友人の前にカップルがいた。その彼氏が彼女のスカートを見て短いなあと言い、スカートの裾を引っ張った。幸か不幸かそのスカートのウエスト部分はゴムであり、引っ張った反動でTバックのお尻が丸見えになった。そこに友人が出くわしたというものだった。

「あるー?そんな話??」

と、これ以上なく興奮した事を覚えている。こういう事があるくらいだから、世の中も捨てたもんじゃないし、どうやらこの腐った世の中にも神がいるらしい、くらいの感想を心の中でつぶやいたものである。

その日を境に僕は一念発起。自宅から近いとは言えない天王寺のMIOに用もないのに足を伸ばし、1階から8階をエスカレーターで上がったものである。しかし、僕が女子の生尻を拝顔することはなかった。

 

その一年後の大学の夏また同じ友人が、

「こないだ同じゼミの女の子の乳首を見た」と言ってきた。

その女の子がゆったりしたTシャツを着ていた事とジャストサイズではないブラジャーを着けていたことが功を奏し、友人は乳首を拝顔する事となったらしい。

「はあー?そんな事ある??」

今度は無性に腹が立った。

「なんで山本(その友人の苗字)だけそんな良い思いするんだよ。おかしいよ。煮て焼くぞ!!」と意味不明な罵詈雑言を浴びせた。僕はこの一年というもの、冬も可能性を信じ、MIOのエスカレーターを1階から8階までせっせと上ったと言うのに。どうやら神様はこの世にいないらしい。

 

しかし、こんな僕の軽薄な信仰心はつい先日、思いもよらない形で報われたのである。

この場合は職場の先輩だったが、先輩が床の物を取ろうとかがんだ瞬間、僕の目線と先輩のブラジャーから覗き見える乳首が「こんにちは」する事と相成った。ここでも緩めなTシャツを先輩が着ていた事が功を奏した。

 

しかし、あんなに夢見ていた乳首拝顔も何故だか嬉しくなかった。なぜだろう?先輩は不潔でも可愛くないわけでもない。

言葉にならないモヤモヤをを抱えながらその日の夜、僕は今年初めてのそうめんを食べた。